Spotifyの計画
SpotifyではFableや障がい者と協議し、見出しごとのバリアを特定して、それを排除および防止するための戦略と仕組みを以下にまとめました。
雇用
当社では、当社が活動し役割を負っているプラットフォームとコミュニティの多様な声を反映しながらSpotifyを構築しています。また、公平性を促進し、バリアを排除し、すべての仲間が成長し成功できる文化を育むことに尽力しています。誰にとってもアクセシブルな職場を作ることは、従業員に力を与え、全員がメリットを得られる方法でSpotifyの成長を促進するうえで不可欠です。すべての人が平等に機会を得られることは、全員にメリットがあるのです。
現状
すべての人が楽しめるSpotifyを構築するという取り組みは明確に提示されているものの、当社の雇用プロセス、環境整備プロセス、障がいを持つ従業員への理解という点でさらに改善が必要とされています。当社では、障がい者に対する誤解があることを認識しており、偏見を減らすため、マネージャーがそうした取り組みを主導できるようサポートしたいと考えています。当社のグローバルな職場の環境整備に関する理念を軸に、すべての仲間がその実力を最大限に発揮するために必要なツールを活用できるように引き続き取り組んでいきます。また、雇用プロセス (外部および社内) において、候補者がサポートをリクエストする機会を増やせるよう努めます。
アクションプラン
- 当社はこの取り組みを評価するために、障がい者平等指標に参加します。
- 当社のDisability & Neurodiversity Belonging Groupのエグゼクティブスポンサーを指名します。
- 社外人材募集ウェブサイト「Life at Spotify」や、社内モビリティプラットフォームなどで、雇用プロセスのアクセシビリティを改善します。
- 障がいや神経多様性を持つ従業員とマネージャーのためのリソース、プログラム、ツール、サポートを引き続き開発していきます。
- 当社のコミュニティエクスペリエンスチームと連携して、社内の全従業員が対象となるエンゲージメントイベントをアクセシブルなものにし、イベントでのアクセシビリティに関するリクエストを追跡して今後の計画改善に役立てます。
- 社内の人事システムとアプリケーションを監査し、全従業員を対象にアクセシビリティの確保を進めます。
- 環境整備プロセスを審査し、改善が必要な分野を特定します。
環境の構築
Spotifyでは、従業員が自分で仕事に最適な場所を選ぶことができ、自宅やオフィス、時にはまったく別の場所でも仕事ができます。そのため、当社はオフィスを仕事場に選ぶ人全員にとってアクセシブルなスペースを提供することにも尽力しています。仕事場のアクセシビリティがいかに重要かを当社は理解しています。たとえば、仕事場の照明を個別に調節できない場合や、フレグランスフリー・ポリシーが定められていない場合、特定の従業員に痛み、呼吸困難、感覚過負荷が生じる可能性があり、仕事に集中することができなくなります。
皆さんからの声「オンボーディング期間中に従業員と連携し、従業員にとって働きやすくアクセシブルなオフィスにするために何が必要かを定期的に検討しています。また、訪問者にも同様にオフィススペースを使った感想を尋ね、オフィスをより使いやすくアクセシブルなものにするためのフィードバックや提案を求めています」- Fableのアンケート回答者
現状
Spotifyのグローバルなオフィスのデザインとレイアウトの基盤となっている当社のオフィスデザインの原則には、アクセシビリティに関する取り組みが含まれています。また、現在のアクセシビリティ基準を確実に満たすために市場の規制に従っています。Spotifyでは、すべての従業員を対象に人間工学に基づくコンサルティングを定期的に実施しているほか、高さ調節が可能なワークステーションや、人間工学を考慮したその他のアクセサリーを導入し、必要に応じて合理的な環境整備を行っています。
Spotifyが常に掲げている目標は、「アクセシブル」の明確な定義を満たした職場を確保し、通路や待機室を含め当社のスペースを現在のバリアがないようにデザインすることです。とはいえ、Spotifyのオフィスを訪問すると、自動開閉センサーのないドアなど、バリアを経験することがあります。また、現在アクセシビリティに関する明確なガイドラインはあるものの、そうしたガイドラインへの準拠の度合いはスペースごとにさまざまです。
アクションプラン
- 集中エリアやミーティングポッドなど、利用できるさまざまなスペースや環境整備について従業員とコミュニケーションを図っています。
- Spotifyのアクセシビリティガイドラインを更新し、すべての新規プロジェクトに適用します。
- 当社ガイドラインを監査し、ギャップを特定してそれに対処するためにガイドラインを更新します。
- 当社のGlobal Workplace Servicesチームにアクセシビリティに関するトレーニングを提供します。
情報通信技術 (ICT)
このセクションでは、Spotifyがサポートを提供するために採用している人とテクノロジーに焦点を当てます。当社はSpotifyが提供するサポートについても、Spotifyのプロダクトと同様に直感的かつ手軽に利用できるものにしたいと考えています。そこで当社では、Spotifyプラットフォームで対応できていないアクセシビリティに関するニーズを特定し、フィードバックを送信して当社にお伝えいただくようお願いしています。報告によると、これまで当社は既存のフィードバックをすべて確認し、対処が必要な問題の改善に努めました。
皆さんからの声「直面しているバリアや問題について、知識のある人が耳をじっくり傾けてくれると助かります。ですから、特定の問題について知識を持つことは役立ちます。知識がない場合は、適切な転送先を知っておいてください」- Fableのアンケート回答者
皆さんからの声「知りたいのは、この件について本当に理解し、行動してくれる人と連絡を取る方法です」- Fableのアンケート回答者
現状
Spotifyのカスタマーサービス (CS) のアドバイザーは、アクセシビリティに関するトレーニングを必ず受ける必要があります。当社はアクセシビリティに関するフィードバックを受け取るために特定のチャネルを提供することに加え、Be My Eyes (BME) と提携して、視覚障がいを持つ人や低視力の人を当社のチームに案内してサポートを提供できるようにしています。また、Spotifyでは社内のアクセシビリティチームと連携し、文書コンテンツの明確性、表現、フォーマットの監査を行っています。ただし、Spotifyがカスタマーサポートを提供するために使用しているソフトウェアのなかには、アクセシビリティが改善できるものもあります。特に、テキストのサイズ変更や適切なカラーコントラストなど、アクセシビリティ機能が確保されているSpotifyのデザインシステムを使用していないソフトウェアが挙げられます。またトレーニングについても、当社のサポートエコシステムのなかで改善および拡大できる余地があります。
アクションプラン
今後3年間で、Spotifyのカスタマーサービスチーム内にアクセシビリティ文化を確立することを目指します。
- 当社のチーム内に障がいを持つ人をサポートするための専門的な知識、スキル、ツールを備えたチームを構築します。
- 障がいを持つユーザーに高度なサポートを提供できるよう、すべてのチームを指導します。
- 既存の問題を解決し、カスタマーサービスプラットフォーム、セルフサーブのページ、ボットの体験を改善することで、アクセシビリティを向上させます。
- 外部向けカスタマーサービスツールを継続的に審査および改善するプロセスを確立します。
- 既存の問題を解決し、社内のオペレーターツールのアクセシビリティを向上させます。
- 外部向けの社内オペレーターツールを継続的に審査および改善するプロセスを確立します。
- Spotifyのパフォーマンス管理フレームワークを構築して、アクセシビリティに関連するインタラクションをより適切に管理できるようにします。
- Spotifyの著作権に関するポリシーを維持および審査し、アクセシビリティに関する標準 (Spotifyのデザインシステムで定義) を反映させ、お客様のさまざまなニーズや学習スタイルに合ったコンテンツを公開します。
- お客様のフィードバックと定期的な監査に基づいて継続的にモニタリングと改善を行います。
ICT以外のコミュニケーション
これには、ブランド、コミュニケーション、パートナーシップなどのチームが主導する、Spotifyの社内および社外のコミュニケーションが含まれます。従業員は社内の文書やライブのチャネルで情報を入手しますが、社外の人は屋外広告 (OOH) のマーケティングスペースやSNSフィードで情報を入手する可能性があります。
現状
Spotifyでは、さまざまなコミュニケーションにおいてコンテンツのアクセシビリティの向上に努め、基準の評価と改善に継続的に取り組んでいます。当計画では、成果を出すためにさらに発展させていくべき当社の取り組みを示しています。
アクションプラン
- SpotifyのニュースルームやSNSチャネルなどのオンライン体験全体で、アクセシブルな形式とコミュニケーションを採用および標準化します。
- 内部および外部の画像、アセット、プレゼンテーションのベストプラクティスを構築します。
- 従業員向けにアセットに関するフィードバックを社内で共有するシステムを構築します。
- マーケティングのアセットやリソースを監査し、改善を見込める点や追加できる可能性のある役立つリソースを特定します。
- 世界中のSpotifyチームと連携して、すべてのSNSチャネルで自動生成のキャプションや、その他プラットフォーム内のアクセシビリティ機能を利用できるようにします。
- Fableと協議し、体験型マーケティングに関する既存の基準を評価し、追加の対策を講じる計画を立てます。
- 対面での体験に参加する人が不快な経験をしないよう、事前に連絡を送信します (「このイベントは照明が点滅するパフォーマンスを含みます」というお知らせなど)。
商品、サービス、施設の調達
Spotifyでは調達に、ソフトウェアとクラウドインフラストラクチャに加え、オフィス用品、専門サービス、企業向けサービス、マーケティングなどが含まれています。この幅広い範囲には、取り込み、評価、交渉、最終決定という4段階プロセスが含まれます。このプロセスにアクセシビリティを取り入れることを当社は目指します。
皆さんからの声「そうした企業がSpotifyに本当の価値を提供しているかどうかを考慮してください。『アクセシブルになりました』と言うだけのために、不要なソフトウエアを購入する必要はありません」- Fableのアンケート回答者
現状
資金調達チームが現在の状況を評価したところ、Spotify for Vendersのウェブサイトでアクセシビリティに関する当社の方針について記載されていないことがわかりました。また、現在ベンダーのソーシングやオンボーディングの際に考慮する要素として、アクセシビリティを含めていません。
アクションプラン
- 最優先事項として、Spotify for Vendorsのウェブサイトにアクセシビリティに関する声明を表示し、社内および社外で当社の方針が周知されるようにします。
- 関連する支出カテゴリーで主要な戦略的ベンダーを審査し、アクセシビリティに関する考慮事項を評価します。
- アクセシビリティに関する質問を、対象範囲のカテゴリーの既存の提案依頼書 (RFP) プロセスと、ベンダーのオンボーディングプロセスに組み込むよう計画を立てます。
プログラムおよびサービスのデザインおよび提供
このセクションでは、Spotifyプロダクトの構築に携わるデザイナーやエンジニア、その他の担当者をトレーニングする方法と、アクセシブルなプロダクトを構築するためのアプローチ、多様なユーザー全員にとってアクセシブルなデザインにするためのデザインプラクティスについて説明します。
このカテゴリーは以下の主な4つのセクションに分けられています。
- トレーニングと文書化
- チーム
- 監査、調査、分析
- プロセス
このカテゴリーには、Spotifyの専属トレーニングチーム、アクセシビリティチーム、デザインチームが該当します。
皆さんからの声「そうしたデザインは、誰もが平等に使えるものであるべきです。誰もが利用でき、タスクを達成できるようにすべきなのです」- Fableのアンケート回答者
現状
トレーニングチーム、アクセシビリティチーム、デザインシステムチーム、リーダーシップチームがアクセシブルなプロダクトの構築に取り組んでいるものの、改善の余地はあります。Spotifyのデジタルプロダクトやツールが障がいを持つ人によってテストされない場合、プロダクトは使いにくいものになり、従業員の作業が遅くなったり、お客様が離脱してより使いやすい別のサービスを利用するようになってしまいます。また、従業員が適切なトレーニングを受けていないと、障がいのある従業員の定着率や昇進率が低下したり、障がいを持つお客様に質の高いカスタマーサービス体験を提供したりできない可能性があります。
トレーニングと文書化
- アクセシビリティに関するコースや実用的なセッションを実施しています。
- 当社はFableのeラーニングモジュールを提供します。これには「Intro to Digital Accessibility (デジタルアクセシビリティの紹介)」「Accessible User Experience (アクセシブルなユーザー体験)」「Testing Accessibility (アクセシビリティをテストする)」「Accessible Web Development (アクセシブルなウェブ開発)」「Accessible Mobile Apps for iOS (iOS向けのアクセシブルなモバイルアプリ)」「Accessible Mobile Apps for Android (Android向けのアクセシブルなモバイルアプリ)」などがあります。
- オンライン学習プラットフォームであるGreenhouseにあるモジュールの完了率を追跡します。
- アクセシビリティプログラムに関するダッシュボードや包括的な指標が不足しています。
- Spotifyの社内プラットフォームや従業員が使用するプロダクトについては、アクセシビリティを改善する余地があります。
- Spotifyには、オーディエンス全体を対象にしたアクセシビリティについては広範な文書、活動、リソースがありますが、組織化、明確化、積極的な社内マーケティングについては向上の余地が常にあります。
チーム
- アクセシビリティを重視して取り組むチームや個人を表彰します。
- Spotifyは、Fableをはじめとする複数のアクセシビリティベンダーと提携しています。
- Spotifyには、アクセシビリティエンジニア、エンジニアマネージャー、プログラムマネージャーで構成される専任チームがあります。
- プロダクトチームには、アクセシビリティ専門の担当者がいません。
アクセシビリティに関する監査、調査、分析
- アクセシビリティに関する監査を依頼するプロセスに加え、既存の監査があります。
- Spotifyの全員がユーザーテストや調査研究について参照できます。
- 当社の公開前テストの範囲は限られており、支援技術ユーザーは含まれていません。
プロセス
- Spotifyのデザインシステムでは、アクセシブルなカラーテーマ、タイプスケール、コンポーネント、レイアウトを提供しています。
- アクセシブルなデザインと文書に関するガイドラインは、当社のデザインシステムのウェブサイトで公開されています。
- デザインチームは、最高レベルのアクセシビリティを優先させたり、デザインで競合する考慮事項とバランスを取ったりするための専門知識を必ずしも持っているわけではありません。
- アクセシブルなプロダクトを制作するためのアプローチは、競合する優先事項のために後手に回ることがあるため、プロダクトの公開後にアクセシビリティのギャップに対処する必要があります。
アクションプラン
トレーニングと文書化
- すべての研究開発従業員に、アクセシビリティに関するトレーニングを完了するよう呼びかけます。
- 特定のプロダクト分野により当てはまる内容になるようコースを更新します。
- 各役割に特化した詳しいトレーニングを完了するよう担当者を促します。
- チーム向けに自分で作れるアクセシビリティキットを開発し、自分たちでトレーニングを実施できるようにします。
- 既存のコースのコミュニケーション計画を作成してスケジュールし、社内の認知度を高めます。
- プログラムの成果を確認し、フィードバックを集めて改善が必要な分野を特定します。今後の反復的作業の必要に応じて、プログラムを調整します。
- 登録やフィードバックのデータなど、トレーニングの主要な指標をインサイトチームに提供し、そのデータに基づいてトレーニングの内容や利用可能状況を改善します。
チーム
- 社内でアクセシビリティ担当者のネットワークを構築し、担当者がビジネスにおいて、ほかの非機能的要件と同様にアクセシビリティの確保を率先して推進するよう働きかけます。
- 社内でアクセシビリティ担当者のネットワークを拡大し、アクセシビリティの向上を継続的に呼びかけます。
- 社内の経験を積んだアクセシビリティ担当者のネットワークをより正式なキャリア開発のフレームワークに組み入れます。たとえば、Spotifyのキャリアフレームワークの新しい前提条件として、アクセシビリティへの積極的な取り組みを加えます。
アクセシビリティに関する監査、調査、分析
- 障がいを持つ人に参加してもらい定期的に監査を行って、Spotifyのアクセシビリティの状況を継続的に評価し、問題の発見から解決までの時間を短縮できるよう対応時間を追跡します。
- クリエイティブなプロダクトブランディングでアクセシビリティの基準を達成します。
- データに基づく分析とストーリーテリングを活用して、アクセシビリティの取り組みを追跡し、組織間で積極的な取り組みについて称賛します。
- Spotifyのマイクロサイトやウェブサイトを監査します。
- 監査およびアクセシビリティの範囲を社内プロダクトまで拡大します。
プロセス
- プロダクトを見つける段階:
- 適切なツール、テストインフラストラクチャ、自動化からメリットを得られる可能性のあるデザイン、プロダクト、ソフトウエア開発ライフサイクルの主なポイントすべてをマッピングします。
- 適切なツール、テストインフラストラクチャ、自動化を、デザイン、プロダクト、ソフトウェア開発のワークフローの関連部分に構築または統合します。
- 反復とメンテナンスの段階:
- 適切なツール、テストインフラストラクチャ、自動化に投資することで、プロダクト開発ライフサイクルの初期段階にアクセシビリティに関する考慮事項を組み込むことができるようにします。
- Spotifyの従業員が、関連するアクセシビリティコンテンツの修正を自分で行えるワークフローを導入します。
- 発生した問題を修正できるよう、ローリングサポートを提供します。
- クリエイティブなプロダクトブランディングでアクセシビリティの基準を達成します。